ユーザビリティテストとは
またの名をユーザテスト。製品やサービスを実際に使ってもらい、改善点を洗い出すテスト手法です。
ポイントは下記の2点です。
- ユーザにタスク(作業課題)を実行するように依頼する
- ユーザがタスクを実行する過程を観察、記録する
このエントリでは、アジャイル・ユーザビリティ ―ユーザエクスペリエンスのためのDIYテスティング―という書籍を参考にしつつ、僕の所感とともに、インタビューア(ユーザと対話して考えていること、思っていることを引き出す役割の人)がやるべきことにフォーカスしてまとめます。
実際にやってみたら、とても難しかったので!
このエントリの目次
- ユーザビリティテストの目的
- 関係者とその役割
- インタビューアがやること
- さいごに
1.ユーザビリティテストの目的
実際に製品やサービスを使ってもらうことで、ユーザのリアルな挙動(=事実)を観察することが目的です。なぜリアルな挙動が必要か
アンケートなどは えてしてユーザ自身の不正確なバイアスがかかってしまいます。端的な例でいうと、「このWebページのこの要素は目立たないから、背景色を目立つ色にした方がいい」とユーザが言ったとします。
これをそのまま受け取ってしまうと、安易に「背景色を赤くしよう」のような解決策を立ててしまいがちです。
そうすると、要素を目立たせる他の手段や、より根本的にナビゲーションの仕方を工夫する、のような検討案が漏れてしまいます。
これはイケてませんね!
つまり…
ユーザビリティテストの目的は、「ユーザからの分析結果」を得ることではありません。正しい目的は、リアルな挙動を通して、ユーザの感情や思考といった「事実」を掘り起こしていくことです。
そうすることで より客観的な分析ができ、より本質的な改善策が検討できます。
ちなみに、ユーザビリティテスト専門のサービスもあります。
UIscopeなどです。
2.関係者とその役割
ユーザビリティテストの関係者は、下記の3つに分けられます。- ユーザ
観察の対象者。タスクを実行していく人です。 - インタビューア
ユーザを観察、また対話することで、ユーザの感じたことや思ったことを引き出す人。 - 見学者
テストを見学する人。テスト中は存在感を消し、ユーザの観察に徹する。
3.インタビューアがやること
やることとしては、ユーザの緊張をほぐす、テスト全体のファシリテートなど様々です。が、最も大切なのはインタビュー時、対話によってユーザの感じたこと・思ったことをそのままの形で引き出していくことです。
ポイントは2つ!
- 質問には答えない
- ユーザの感じたこと・思ったことをそのままの形で引き出す
どういうことかと言うと…。
質問には答えない
ユーザが「前の画面に戻るにはどうすればよいんですか?」と質問してきても、答えを教えてはいけません。前の画面に戻るのが分からないとき、どういう行動を取るのか、どうやってたどり着くのかを確認するのがテストです。
ユーザの感じたこと・思ったことをそのままの形で引き出す
ユーザが操作などに迷ったときは課題の発見のチャンスです。ここで「何を考えていますか?」などの質問をして、ユーザの状況を説明してもらいます。
「もしかしてナビゲーションの色が分かりづらかったですか?」など相手の思考を推察して質問してはいけません。
おそらくユーザは「はい」と答えるでしょう。
しかしこれは誘導尋問になってしまっていて、本質的な課題を見つけられません。
インタビューをやってみると分かりますが、これが非常に難しいです!
普段の会話と同じ感覚で話していると、どうしても相手の思考を推察して言葉にしてしまいます。
4.さいごに
僕のように口下手でアドリブのきかない人にはけっこう敷居が高いインタビューア。思っていたよりもはるかに難しいです。
特に、誘導尋問にならないように質問をするところが。
ですが、正しくテストを実施・分析できれば、製品・サービスのクオリティを確実に向上できるので、ぜひともものにしたいスキルです。
それでは。
参考書籍
分かりやすい文章で書かれていながら、ユーザビリティテストのエッセンスが詰まっています。
特にインタビューよりも前段にあって、より重要な作業の「タスクの設計」の解説は必読です!
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