2011年6月14日火曜日

「スマートテレビで何が変わるか」を読んだのでメモ

スマートテレビで何が変わるかという本を読みました。
情報量が多かったので、本の中で興味を惹かれた登場人物やサービスの概要について、「個人的なメモとして」まとめます。
マーケティング的な背景やマネタイズなどについては特に流します。

スマートテレビとは
  1. 従来のテレビ番組に加え、動画などインターネット上の各種コンテンツ情報をテレビ画面で楽しめる
  2. パソコンやスマートフォンのような、情報処理能力を持っている
  3. インターネットを通じた心理的なソーシャル視聴が可能

アップス
様々な機能を持つスマートテレビを、よりシンプルな操作で利用してもらうためにはアップスがポイント。
テレビアップスにちては、大きく4種類に分類している。
  1. 見逃し放送をストリーミングするためのアップス
  2. 個々の番組と連動する番組連動型アップス。
  3. 番組と連動しない番組非連動型のアップス。ヤフーコネクトテレビなどで提供される天気予報やニュースなど
  4. 個々のデバイスに特有のアップス。テレビメーカーによるお知らせなど

従来型の放送は残る?消える?
  1. まず、番組が出来上がるごとにインターネットのサーバに登録され、視聴者が自由に引き出すクラウド放送へと大きく変化するとみられている
  2. そして、将来的にはユーストリームのような形態のコンテンツも、そのまま電波に乗る可能性がある

一方、スマートテレビを推進する英国BBCのアンソニー・ローズ氏(You Viewの構想策定者)は「当分は従来型の放送が残る」と言っている。

タイムシフトとプレースシフト
タイムシフト(時間シフト視聴)とは
視聴者が「好きなときにいつでもテレビを見られる」というコト。
ユーチューブなどやGyaoのような視聴スタイル。NHKが見逃し放送のサービスNHKオンデマンドを開始した。

プレースシフト(場所シフト視聴)とは
視聴者が「見たい場所でいつでもテレビを見られる」というコト。
例えばアップルのエアープレーではiPadやiPhoneの映像をテレビに受け渡せるようになっている。

時代は着実にこの方向に進み始めており、DECE(業界団体デジタル・エンターテインメント・コンテンツ・エコシステム)などの参加企業は、この方向を目指している。

* DECEでUltraVioletという取り組みがある。Tech Crunchの「DECEのUltraVioletで、Appleの本当の実力がわかる」という記事によると、UltraVioletとは、
「DECEの参加企業が製造するデバイス間で、コンテンツを安全に相互利用できるようにするために、DECEが採用した技術である。これはDRMではあるが、あらゆる家電やコンテンツで使えることで、消費者に受け入れらるものとDECEが期待するDRM方式だ。」
とのコト。

クラウド放送に向けた国内外の取り組み
クラウド放送が成熟すれば映像だけでなく、電子書籍や音楽、ゲームなどのコンテンツを、あらゆるデバイスで視聴することができる。

まず、国内市場について。
SHARPは、自社のスレート端末GALAPAGOS用のコンテンツとして、TSUTAYAを運営する企業と共同でクラウド放送企業「TSUTAYA GALAPAGOS」を立ち上げた。ここでは遠視新聞や電子雑誌、電子書籍約2万点が用意されている。

SONYは凸版印刷、KDDI、朝日新聞社とで、電子書籍共通配信プラットフォーム「ブックリスタ」の運営を開始した。

NTTドコモが出資する「株式会社mmbi」が、2012年春から放送サービスを開始する予定。

次に米国市場について。
米国のクラウド放送ではHuluネットフリックスが有力。

Huluとは、CBSをのぞく米国地上波(FOX、NBC、ABCなど)が立ち上げた見逃し放送配信サービス。
ネットフリックスは、米国のオンライン映画ストリーミング企業。

どちらも、放送局や映画配給会社などのコンテンツホルダーから作品の提供を受けて代理販売したり、広告付きで無料で提供したりしているため、「アグリゲーター」とも呼ばれる。
Huluはテレビ番組中心、ネットフリックスは映画中心のアグリゲーター。

アグリゲーターとしては、他にも2011年1月から日本でもサービスを開始したSONYのキュリオシティ、欧州では「イギリスのネットフリックス」と呼ばれるラブフィルム(アマゾンが買収)、東芝がフランスで立ち上げた東芝プレーシーズなどがある。

海外市場での日本メーカー
多くの日本メーカーが、欧米ではスマートテレビ市場に進出している。

例えば東芝。欧州ではHbb TV(ドイツ・フランス・オランダを中心に欧州放送協会が設定したスマートテレビ標準規格)に対応したテレビを発表しており、米国ではヤフーコネクトテレビと、Vuduの仕組みを活用したスマートテレビを販売している。

SHARPのテレビ「AQUOS」も、米国ではVuduのアップスを搭載。

SONYもまず電子書籍リーダーを米国向けに開発、2010年12月には電子ブックストア「リーダーストア」を立ち上げた。

スマートテレビの欧州事情
欧州では各国ともスマートテレビに大して、テレビ業界の方が熱心。

イギリスでは公共放送BBC、民放のITV、英国テレコムのBTが参加したYou Viewが、2012年初等に立ち上がる予定。You Viewの特徴は、IPTV。インターネット上に置かれた見逃し放送をテレビに送信するサービス。この手法は「オープンIPTV」と呼ばれる。

ドイツ・フランス・オランダでは先に書いたHbb TVという標準規格を設定している。

見やすいのは1画面方式?2画面方式?
スマートテレビのありかたについては1画面方式2画面方式かで戦略的な議論がある。
2画面方式は、モバイル機器の画面も含めてサービスを実現する手法。
  1. 1画面方式
    グーグルテレビやヤフーコネクトテレビ、Hbb TV、You Viewなどが採用。
    アップスはテレビ本体やSTB上に搭載され、放送番組に重ねてテレビ画面上に表示される。
  2. 2画面方式
    アップルテレビが採用。
    アップスはモバイル機器側に設置され、テレビ画面は放送番組のみが表示される。アップルはエアープレーへと発展させている。
    ヤフーコネクトテレビやパナソニックやソニーや韓国サムスンなども、エアープレーに向かって進み始めている。


スマートテレビで稼ぐ4つのビジネスモデル
  1. STBなどのハードウェアを視聴者に販売して稼ぐ。
    (RokuBoxeeポップボックスなどが挙げられる)
  2. PFなどを他社に提供するライセンス料で稼ぐ
    (ヤフーコネクトテレビやオペラ・ソフトウェア、Vudu、マイクロソフトのメディアルームなど)
  3. 広告で稼ぐ
    (グーグルなど)
  4. サービス(映像、音楽、アップスなど)のマイクロ取引で稼ぐ

有料テレビの取り組み
  1. 英国スカイ
    マイクロソフトと組み、XBOX360をセットトップボックスに活用したスマートテレビのサービスを「オープンIPTV」で開始した。また、モバイル視聴をチャネル売りにした。
  2. ユーバースTV
    米国の通信企業AT&Tが提供する有料テレビサービス。スポーツ中継に力を入れ、効果的なアップスを提供した。
  3. ディレクTV
    米国衛星放送のトップ企業。テレビアップスの展開に熱心で、TVアップスと呼ばれるテレビアップストアを立ち上げた。
  4. ファイオスTV
    ベライゾンコミュニケーションが提供するサービス。「バザール」と呼ばれるアップストアを立ち上げた。

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